戊井昭人 of Tribal Village Asakusa トライバルビレッジ浅草

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戊井昭人

Profile AKITO INUI

1971年10月22日生まれ てんびん座
A型 東京出身 179cm 67kg

鉄割アルバトロスケットの主宰者で、作家、俳優、酒飲み、
ボクシングを愛し、ギター弾いて歌う様なことする、
当“トライバルビレッジ”の名付け親、
戌井昭人が結構昔に書いた詩を公開していきます。

この男の頭の中の一部分が垣間見られます。
よく酒飲んで酔っ払って浅草辺りに泊まっていきます。
着衣でも裸でも上手に動き、踊ります。
色んな詩が出てきます。乞うご期待です!!

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戌井昭人さんの小説集「まずいスープ」の単行本が発売中。

これは戌井さんが今まで、文芸誌に発表した三作品「鮒のためいき」「どんぶり」「まずいスープ」が収められてます。「鮒のためいき」は、文芸誌掲載のとは、少し違う話にもなってまして、表題の「まずいスープ」は芥川賞候補になった作品です。帯の推薦文は柴田元幸さん、表紙のタコの絵は束芋さんが描いてくれました。裏には魚もいるし、中身にもタコの足が侵食しており、カバーを外しても、良い感なのです。

amazonでも発売中!
新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/317821/

戊井昭人/コラム 詩集

トライバルビレッジ浅草のゆかりの人物、戊井昭人さんの過去の短文を紹介しています。
この店の名付け親、そして当店でもイベントをしてくださっています。

くらげ

2010-03-08

くらげ 

by 戊井 昭人

にかく変な動きをする奴だった。

クラゲのようだったり、壊れたロボットのよう
だったり、ギターを弾きだすと必ずそうなる。

なんでだろう、何かに取り憑かれたとかではなく、

脳味噌に虫が乱入して暴れまわってるみたいだった、

見るから狂気だったけれど、見てる者に危害を加えることは余りなかった、
別に酒を飲んだりドラッグをやってる訳でもなかった、
まわりにはそういう奴等は沢山いたが、彼は酒もドラッグもやらなかった、
好物は韓国のりだった、いつも楽屋でコーラと韓国のりを食っていた。
一度ステージでゲロを吐いた、本番前に韓国海苔を食べて、それが口の中にくっついていて、
ギターを弾いてる最中、のりが喉にひっかっかたらしく、
オェ~オェ~と何回もやって、吐いていた、そして、吐き終わると、すっきりした顔をして、
また変な動きでギターを弾いた、ギターはアンプ内蔵の(ぞうさんじゃない)変なギターだったが、
それをシールドで大きなアンプに繋いで、地獄のような轟音を出す、
一度やってる最中、音がでかすぎて、アンプが飛んでしまったが、
「電池が電池があるのだぜ~」といって、内蔵アンプから音を出してたが、何も聞こえなかった。
「なんでギターを弾くようになったの?」一度聞いたことがあった。
すると「最初はドラムだったんだけど、いつの間にか」と言ってた、聞かなきゃよかった。

で、ある日、風呂場でギターを弾くと、音が響くというのを発見して、風呂場で弾いていた、
なんの曲を弾いていたのだろうか?、
そして、水のはってあった、バスタブに飛び込んで、感電して死んでしまった。
白目を剥いて、腕と足が生きてたら取れないようなポーズで曲がって、
クラゲのようにヘナヘナになって死んでいたらしい。

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スースースー

2010-03-08

スースースー

by 戊井 昭人

殺の詩ばかり書いてる女の子。

まだ死んでないんだけれどもね。

そのうち実行しちゃうかもしれないんだけれどもね。

でも、その詩がまだ自分では全然納得いくものじゃないらしくて、実行できないのね。

それで、昔付き合ってた男の子からもらった
サバイバルナイフに紙が沢山束になって刺さっていて、それが全部、失敗作で、失敗
作を取っておいてるからいけないんじゃないのかね、失敗を省みてたら失敗ばかりす
るよって、彼女には言いたいね、いつか成功して納得いくものが書けたら、失敗作は
燃やすとかして欲しいね。

失敗があったから成功があったなんて成功してから言って
も、格好悪いからね。

実行はあまり御勧めできないけれどもね。

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えび茶

2010-03-08

えび茶

by 戊井 昭人


池をくわえて 蘇ったって
破けた麦わらの帽子を被って
薮の中 半分崩壊した自宅の前
戴き物のネクタイ
踏みつぶして 考えた
はみ出した気持ち金網越し
相談相手は変な靴はいて
晴れた空に 煙草ばかりすってる
答えきれなくて一杯
錆びた鉄板にのっかって
底ぬけて鉄粉が散る

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アルマジロ

2010-03-08

アルマジロ

By 戊井 昭人

いつは片足が無くなったていた。
久しぶりにあったら片足だった、膝から下が無かった。
「おどろいたろう」松葉づえで私のことを指して言った、松葉づえの使い方は大分慣れてるみたいだった。
「おどろきましたよ、そりゃ」
それ以外に何とも言い様がない。
そして、いつものように映画を見て喫茶店に入って、食事をしながらちょっとお酒を飲んだ。
片足については
「バンコクに旅行した時、オートバイタクシーに乗ったら、転んで、足が飛んでった」と言っていた。
そして向こうで入院していたらしい。

「クラー効きすぎ」と向こうの病院のことを言っていた。
バンコクは驚くほど交通事故が多いらしい、沢山人が死んでいて、
その事故現場の写真なんかを道路に貼って交通事故は怖いものだと宣伝してるらしいが、
なんの効果もないらしい、
「死ななかっただけましだった」と言っていた。

今義足を頼んでいるらしい、
義足で自由に歩けるようになったら、また色んなところに旅行して、
義足に色々いれて密輸すると言っていた。

「なんか欲しいものあるか」と聞かれた。
「別に無い」と答えた

「アルマジロを使ったね弦楽器があるのね、それ輸入禁止なんだけれど、それを密輸しようかな、
あと拳銃だろ、LSDだろ、ワシントン条約だろ」、

「でもな俺思うんだ、麻薬犬なんかが寄ってきて、義足くわえて持ってっちゃったら、格好悪いだろう、だから
、そういうのは密輸しない」

「アルマジロの弦楽器なんて入るの?」

「うん、それ問題、解体しないとな、だからアルマジロの背中の、
その部分だけ足に入れてな、そうすればいいと思うんだ」

「そんでどうするの?」
「売るの」

「でもときどきな、無くなった部分があるような気がしてな、かゆくなったりするんだ、
足の指とか、無くなったほうの」

「ないのに、変なの」

「頭のイメージではあるなんだよね、忘れてると、寝てるときとか」
「困ったね」
「いや、大して困らない、なんか幻覚みてるみたい、ちょっと楽しい」
「へ~え」
「とにかくアルマジロ密輸しますよ」、

そんな馬鹿話をして、結局いつものように、終電までには帰った。
今度は義足を付けてアルマジロを抱えた、あいつと会うのは、いつになるだろうか。

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New!眼鏡とバケツ

2010-03-08

眼鏡とバケツ

By 戊井 昭人

鏡をかけた三歳くらいの子供が走り回ってる。

自分の影を追いかけて、グルグルと。

夏も終わりそうな夕方、公園で、子供は「な~!」とか「うい~!」とか奇声を
発しながら、でもその奇声は耳に突き刺さるようなのではなく、結構低音で耳に響いてくる感じだった、僕はベンチに寝転んでその子供を眺めてる。

子供はたまに眼鏡がズレ落ち、立ち止まり、自分の影を見ながら、一瞬、我に帰ってるみたいで、人さし指で眼鏡を元の位置に戻してる、ぶあつい眼鏡で。

そしてまた、奇声をあげて、グルグル自分の影を追いかけて走っている。

僕のいる隣のベンチにはバケツを抱えた男が座っていて、その子供を眺めながら疲れた感じで煙草を吸っている、子供とたまに目が合うと、面倒くさそうに微笑んであげてる、でも、子供を見てるというよりも、どこかもっと遠くの方を見てるようにもみえた、サンダルでジャージ姿で。

男は煙草を吸い終わると立ち上がりバケツをぶら下げて子供のところまで歩いて行った、そして、バケツを子供の頭にかぶせた、するとそれまで走り回っていた子供ピタリと止まり、男と手をつないで、その場を去っていった。

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